「抵抗器」の名前の由来

抵抗器は英語ではResistor、ドイツ語ではWiderstand、いずれも「逆らう」という意味であり電流を流れにくくする働きを指します。しかし抵抗器には電流を電圧に変換する働きや、電気エネルギーを熱に変換するトランスデューサ、分圧・分流機能、余分なものを熱にするという別の機能もあります。「抵抗器」とは多様な機能のほんの一面を指す言葉です。

抵抗値の単位はΩ

電気の単位はVoltのV、AmpeareのAなど縁の人名の頭文字を当てることになっています。Ohmの場合は頭文字オーとゼロの区別がややこしいから使いにくいため、ギリシャ文字を使います。ギリシャ文字には短いオと、長くのばして発音するオーと2つの文字があります。前者はO（オ・ミクロン）、後者はアルファベットの最後Ω（オ・メガ）です。「Ω」は普段オメガと意味を考えずに続けて発音しますが、メガはミクロンの対比で長くのばすという形容詞です。従ってOhm のギリシャ語表記は Ωｍ となり、抵抗値の単位は「Ω」になっています。

チップ抵抗器が９０％以上！

抵抗器には用途に応じて様々なタイプがあります。リード付きタイプは電力用、高電圧用など特殊用途で残るものの、汎用抵抗器に占めるチップタイプの割合は2000年以降90％前後となっています。経済産業省生産動態統計によると固定抵抗器の国内年間生産数量は、2017年以降チップ抵抗器だけでも1,400億個/年 以上と高い伸びを示しています。

半導体の省電力化と小型化によりプリント配線板の高密度実装が可能となり、モバイル機器の小型軽量化が進みました。受動部品もチップタイプが主流となる中、抵抗器は常に軽薄短小部品の最先端を走り続けてきました。「1005（1.0ｘ0.5mm）」から「0603（0.6ｘ0.3mm）」へ、最近では「0402（0.4ｘ0.2mm）」サイズが多用されるようになってきました。そしてKOAでは究極のサイズ「0201（0.25ｘ0.125mm）」の開発を進めています。

抵抗標準器の維持

弊社の品質保証センターでは低抵抗値から高抵抗値まで各レンジで標準器を維持しています。維持とは単によい物を購入して持っているということではありません。定期的に国公立機関（例えば日本品質保証機構）で較正し、いかに変動が少ないかという証書を長期間に亙ってファイルし続ける活動です。

弊社は2.5ppmという最高の標準器を維持しておりこれを基準に工場の試験装置を較正しています。工場での測定値は当社標準器、国家標準を経て、世界標準（IEC）へ繋がっています。このつながりをトレーサビリティといいます。

標準器は23℃の油槽で油に浸して保存しています。温度を一定にするため攪拌しますが、攪拌するとジュール熱が出るので同時に冷却します。油槽は比熱が大きいので停電になっても温度が急変することはありません。1℃でも温度が変わるとヒステリシスが加わって抵抗値の精度が落ちるためこのような管理を行っています。