基盤技術

機能性成膜技術

スクリーン印刷、スパッタリング、CVD、無電解・電解めっき等の成膜手法を用い、当社独自の材料配合比により抵抗被膜、センサ被膜、電極、保護膜などの機能性被膜を形成します。

 

スクリーン印刷成膜技術

スクリーン印刷成膜とは、紗(メッシュ)上にネガパターンを形成したスクリーンを用いてペーストを印刷する方法です。主な特徴として、膜厚の安定性や材料選択性・生産性の高さがあり、KOAの表面実装抵抗器全般や、回路配線・保護膜などを形成に用いられています。

スクリーン印刷

スパッタリング成膜技術

スパッタリング成膜では、真空中で不活性ガス(例:Ar)雰囲気内に電力を印加することで、ターゲット金属(例:Ni)を対象に飛ばし、対象物表面にターゲット金属の薄い膜を形成します。主な特徴として均等に薄く、かつ密着力の高い膜の形成が可能です。スパッタリングは、ニクロム系抵抗被膜や、温度センサなどの白金皮膜の形成に用いられています。

スパッタリング

めっき技術

電解めっき技術では、電気でめっきを析出させ、導電物に成膜させます。その中でもバレルめっき法では、ダミーボール(鉄)を介して製品電極部に通電することで、めっき膜を形成しています。主な特徴としては、一度に大量の表面実装抵抗器の電極を、均一な膜厚でめっき形成することが出来ます。

一方、無電解めっき技術では、化学変化でめっきを析出させます。主な特徴としては、電気が給電できないパターン上でもめっき形成することが出来ます。還元剤由来のリンの含有率により抵抗体の比抵抗やTCR値の調節に用いています。

 

電解めっき

バレルめっき

無電解めっき

接合技術

接合技術は、同種あるいは異種の金属を接合する技術です。

例えば、シーム溶接はスポット溶接を発展させたもので、連続的に電気と圧力を加え、異種金属を接合する技術です。冷間圧接は、対象物である線端同士を連続的につき合わせることで、酸化膜の内側にある金属を連続して加圧し、接合する技術です。焼結結合は、対象物間にペースト材を塗り、圧力と熱をかけることで接合する技術です。

 

シーム溶接

冷間圧接

焼結結合(シンタリング)

成形技術

成形技術は、製品形状を高精度、かつ正確に成形する技術です。

例えば、チョコレートブレークはセラミック等のシート表面上に、製品サイズに合わせた溝を加工します。これにより、板チョコを割るときのように、機械的に製品形状へ成形する技術です。表面実装抵抗器を大量に成形する際に用いられています。ダイシングは、高速で回転するブレードで、対象を切削して切り出し、製品形状に成形する技術です。プレスは、凹面と凸面の間に対象物(金属)を挟み込み、圧力をかけることで製品形状に成形する技術です。

 

チョコレートブレーク

ダイシング

プレス

設計

熱設計

抵抗器は電流を流すと発熱します。高温環境下での使用や大電力を印加したい場合には耐熱性と放熱性を考慮した部品の構造設計が必要です。耐熱性が高い材料の使用や放熱経路の設計をしています。また、突入電流など過渡現象における発熱状況をシミュレーションにより解析して、動特性を考慮した製品構造設計をしています。

端子部温度規定とは

微細構造設計

フォトリソ技術による微細パターンの設計のみならず、高精度なスクリーン印刷によってファインパターンを形成します。
また、LTCC基板におけるファインラインパターンの多層化構造の設計・作製技術を有します。
これらの技術は0201mmサイズの超小型チップ抵抗器にも使われています。

材料

材料配合

所定の抵抗値、抵抗値温度係数、耐久性、環境性など抵抗器に適した特性を持つ材料を設計することができます。
LTCC基板は独自の材料技術により高寸法精度を実現しています。

LTCC基板の元になるグリーンシート

材料合成

自社開発の抵抗材料により、抵抗温度係数の小さな低抵抗や温度センサ、あるいは耐サージ性に優れる抵抗材料を実現しています。
自社開発材料により、エネルギー耐量が高く、漏れ電流が低いバリスタを実現しています。

実装

パッケージ設計

電子部品の構造においては、機能性膜を適切に保護(電気的・機械的・環境的)するために、熱硬化・熱可塑樹脂を使用して、ICパッケージの様に複数素子を1パッケージに封入することも可能です。金属端子を有するパッケージ製品は温度サイクル試験に対して高い信頼性を持つというメリットもあります。

高密度部品実装

LTCC基板をインターポーザやパッケージとして活用し、お客様が開発した素子を組み込むことができます。
電子部品を高密度で実装したい場合、ガラエポ、アルミナ基板、LTCC基板を使用した高集積実装パッケージにて対応します。端子としては、SOP、BGA、LGAが使用可能です。マルチチップモジュール(MCM)による小型化にも対応します。

LTCC

マルチキャビティ構造・高寸法精度

焼成時における優れた収縮制御により、高精度な多段キャビティを形成することができ、センサパッケージやインターポーザを実現することができます。
更に高精度な寸法が必要な場合は、表面・側面研磨加工にも対応します。

LTCCに関しては、こちらからご覧ください

測定

温度測定

微小部分の温度を正しく測定するためには、熱電対の線径やサーモグラフィーのレンズの解像度など、適した方法での測定が必要です。KOAでは、微小部分の温度を正しく測定するために、熱電対の材質・線径やサーモグラフィーのレンズ・解像度など最適な方法を確立しています。

表面実装抵抗器の端子部測定

サーモグラフィー

抵抗値測定

抵抗値の測定方法には2端子法、4端子法などが知られていますが、超低抵抗、超高抵抗、微小サイズの抵抗器の測定においては、端子ケーブルの絶縁性や、測定端子のレイアウト、測定環境(湿度・ノイズ)等が大きな影響を及ぼします。
製品に応じて正確に抵抗値を測定するシステムを構築できます。

 

シミュレーション

伝熱・流体

部品実装が挿入から面実装に変わり、抵抗器の放熱が大気放熱から基板放熱が支配的になっています。そのため電子部品の実装における熱設計が重要になっています。当社は、抵抗器による温度上昇を熱伝導や熱流体のシミュレーションモデルで検証しています。

複数のリード線型抵抗器による熱流体の様子

応力

長期信頼性の要求に対応するためには、温度サイクル試験において、電子部品を構成する各材料の熱膨張係数の違いに対応した構造設計が必要になります。 また、電子部品とプリント基板の熱膨張係数の違いに対応した部品の電極設計も必要です。 当社では部品で発生する応力を緩和できるようにシミュレーションを用いて製品設計を行っています。

分析・評価

加速試験

恒温槽、恒温恒湿槽、プッレッシャークッカー、冷熱衝撃装置等を活用して製品の寿命予測を行っています。また、温度・湿度の過酷な条件における加速試験により製品特性変化を予測する技術も有しています。
また、耐硫化性能を評価する独自の加速試験ノウハウを保有しています。

化学・物理分析

RoHS規制への対応を確実にするために、当社は部品メーカでありながらISO/IEC17025の試験所認定を取得しており、社内でRoHS6物質の分析および証明書の発行ができます。FIB-SEM※1、X線CT※2、ICP-AES※3など、各種物理分析機器を保有し、製品・材料特性の解析、不具合解析をスムーズに行うこともできます。

  • 1:FIB-SEM:微小部の加工と観察・分析をする装置です
  • 2:X線CT:試料内部をX線で3D観察する装置です
  • 3:ICP-AES:試料内部の極微量の元素量をはかる装置です

FIBで断面加工・観察した ニッケル/銅二層界面の様子(上層が銅)