製品情報

白金薄膜測温抵抗体の概要

薄膜白金測温抵抗体のラインアップ

弊社の薄膜白金測温抵抗体 SDT シリーズのラインアップは以下の3種類に分かれます。

SDT101 シリーズ    円筒形アキシャルリードタイプ
SDT73HSDT73V  SMDタイプ
SDT310シリーズ  板状ラジアルリードタイプ:JIS・DIN規格準拠製品

また、SDTシリーズを保護管に封入加工するなど2次加工した製品のSTシリーズもラインアップされています。
以下に各製品の主要定格と抵抗温度係数を示します。

主要定格表

形名 定格電力 抵抗値 at 0℃/ 抵抗値許容差 抵抗温度係数 T.C.R. (×10-6/K) 抵抗温度
係数許容差
使用温度範囲
SDT101A 0.125W 10Ω,100Ω, 500Ω D:±0.5%
F:±1%
+3500 F : ±1%
G : ±2%
-55~+150℃
SDT101B -55~+300℃
SDT73H/V 2B 0.063W 100Ω, 500Ω C:±0.2%
F:±1%
+3850 ±50×10-6/K -55~+155℃
形名 抵抗値
at 0℃
クラス :
測定温度に対する許容差(℃)
抵抗値
許容差(%)
抵抗温度係数 T.C.R. (×10-6/K) 規定電流 使用温度範囲
SDT310LTC 100Ω
500Ω
1kΩ
A : ±(0.15+0.002|t|) ±0.059 +3850 100Ω
1mA max.

500Ω, 1kΩ
0.1mA max.
-55~+155℃
B : ±(0.3 +0.005|t|) ±0.12
C : ±(1.0 +0.01|t|) ±0.39
SDT310P A : ±(0.15+0.002|t|) ±0.059 -55~+400℃
B : ±(0.3 +0.005|t|) ±0.12
C : ±(1.0 +0.01|t|) ±0.39
SDT310MTM 100Ω B : ±(0.3 +0.005|t|) ±0.12 1mA max. -55~650℃
C : ±(1.0 +0.01|t|) ±0.39

抵抗 - 温度特性

各シリーズの概要

 

SDT101シリーズ

SDT101シリーズはJISの薄膜白金測温抵抗体と比較して安価です。弊社では1982年から出荷しており温度抵抗特性の近似式が用意され、設計時の回路計算に使用できます。
また、素子部が円柱形状のため方向性がなく、自己発熱を利用した風速や流量のセンサとしても優れています。

主な用途は、ロードセルの温度補償・自己発熱を利用した風速センサ・熱電対の零接点補償・自動車の電子燃料噴射装置の流量測定、各種温度センサの補償用です。

SDT310シリーズ

SDT310シリーズは素子が小型で、1kΩが作成可能で優れた応答性と直線性を有しています。このシリーズの中でSDT310LTははんだ付けが容易です。 SDT310MTは熱電対または高価な巻線タイプを用いらざるを得なかった650℃の温度測定についてCLASS Bを実現しています。

主な用途は高精度温度測定、熱電対の零接点温度補償、制御基板の温度補償、電子機器の温度管理などです。

SDT73H / SDT73Vシリーズ

SDT73H / SDT73Vシリーズは面実装タイプの薄膜白金測温抵抗体で、抵抗温度特性(T.C.R.)がJIS・IEC規格に準拠しています。SDT73Vは車載試験規格AEC-Q200のデータを取得済です。

STシリーズ

STシリーズはSDTシリーズを保護管に封入したり、リード線を延長したり、基板に搭載したカスタム製品です。

今後もお客様のご要求に柔軟に対応できるようさらなる小型化、高精度化、高温対応や測定温度範囲の広い製品などのラインアップを拡充してゆく予定です。

白金薄膜測温抵抗体の歴史と動向

測温抵抗体の中で昔から広く利用されてきた温度センサとして、Pt100などと呼ばれることもあるJISや国際規格準拠の白金巻線タイプの温度センサがあります。この製品は白金線を使用していることで非常に価格が高い製品ですが、耐環境性に強く、長期安定しており、国際的に決められた計算式と温度-抵抗値の換算表に従う特性を持っています。
白金巻線タイプは、他の抵抗温度センサに比較してもともと価格が高く、抵抗値が100Ωより大きい値となるとサイズが大きくなり、さらに価格が高くなります。このため設計者には以前から高価な温度センサというイメージを持たれていました。

弊社は1982年から低価格かつ高抵抗値となる薄膜タイプの白金測温抵抗体を製品化し販売してきました。この製品は弊社独自技術により温度精度と温度特性を実現した製品であり、高精度品、高安定性製品という位置付けで計測機器の分野で重用されてきました。
1997年にJISの規格に準拠した薄膜タイプの白金測温抵抗体を製品化し、以降、薄膜タイプに対する信頼性が広く認知され、薄膜白金測温抵抗体の需要が伸びてきました。

その後機器の付加価値向上のために高精度な温度センサの要求や、カスタム形状の製品の要求が増え、また、食品加工において法的に工程管理が厳しくなってきたことも近年の需要増加につながっています。

薄膜白金測温抵抗体が市場に受け入れられるようになった背景として、巻線タイプとほぼ同等の性能で廉価である事や、薄膜化することにより小型ながら高抵抗値(1kΩ)の製品が製造可能になり、抵抗値変化の絶対値が大きく外部に付けるリード線の線抵抗による誤差が少なくなるなど、セットの回路設計が容易になった事が挙げられます。

最近の傾向としては、カスタム形状の白金測温抵抗体の要求が増えており、ガラス布エポキシ基板に搭載した温度センサやモールド加工する製品など、新しい形状の要求が主となっています。この傾向は機器メーカーが高付加価値品へシフトするにつれて増えてゆくと予想されます。

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