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温度センサには、輝度や色・赤外線強度などで温度を測定する非接触式のものと、熱起電力や電気抵抗・磁気の変化を利用する接触式のものがある。そのうち最も多く利用されているのが、電気抵抗変化を利用した「抵抗温度センサ」です。 「抵抗温度センサ」にはサーミスタや白金測温抵抗体などの種類があり、これまでサーミスタが用いられる場面が多かったが、近年、測温部の長期安定性や互換性の要求からサーミスタからリニア抵抗器や白金測温抵抗体へ設計変更する動きが目立つようになってきました。
温度に対して抵抗値が変化するタイプの温度センサとしては、大別してサーミスタ、リニア抵抗器及び白金測温抵抗体があります。それぞれの温度特性を(図―1)に示します。
図1.抵抗温度センサの温度特性
サーミスタには、PTCタイプとNTCタイプがあります。PTCタイプは、ある一定の温度で急激に抵抗値が大きくなります。この特性を利用して、半導体の熱暴走時の過電流保護用に使用されます。NTCタイプは、温度の上昇に対して指数関数的に抵抗値が減少する特性をもち、常温の抵抗値が高く、温度に対する抵抗値変化量が大きいことから、一般的には温度検出用途に使用されることが多いです。通常サーミスタというとNTCタイプを指すため、以後サーミスタと言います。 リニア抵抗器は、温度上昇に対して抵抗値が直線的に増加する特性をもち、従来からモータの巻線の温度補償用に多用され、近年では高周波回路やディスプレイの温度補償用にも使用されるようになってきています。 白金測温抵抗体も温度上昇に対して抵抗値が直線的に増加する特性をもちますが、リニア抵抗器に比較して温度特性の直線性が良く長期安定性が優れています。広い温度範囲にわたって使用可能で、抵抗値許容差もTCR許容差も高精度です。白金測温抵抗体P100(100Ω at 0℃)はJIS規格で標準的に使用されますが、用途に応じた抵抗値のバリエーション(10Ω~1kΩ)があります。 これら抵抗温度センサの中でサーミスタのSMD製品は、携帯電話の生産台数の増加に伴い急激に需要が伸びているため使用数量は他に比べて突出しています。 サーミスタは抵抗値変化が大きいく検出回路が容易になる事、安価なことがメリットですが、一般的なサーミスタは精密用途に対して互換性が殆ど無いことがデメリットです。回路においては、温度の変化に対してある一点を境に回路をON/OFF動作させる目的の回路を構成する事は容易ですが、温度の絶対値を検出して回路にフィードバックをかける回路において高精度な検出をすることは困難です。セットにおいては短期の保証で済むセットの場合には良くても、何年も保証が必要になるセットや、温度センサ部分を交換するセットには向いていない面があります。
具体的には冷却ファンの温度によるファン回転数の変化を持たせるためにサーミスタではなくリニア抵抗器に変更したり、熱電対の零接点補償用にサーミスタを使用していましたが長期安定性が無いために白金測温抵抗体に変更したり、世界中で使用されることを前提とした計測機器の温度補償用に互換性を求めてサーミスタからPt100タイプの白金測温抵抗体に変更したりというケースがあります。
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