汎用品と比較して耐湿性・耐硫化性能に優れた製品を紹介します。大気汚染・高湿度環境などでの使用に適しています。

硫化防止

硫化のメカニズム

硫化とは内部電極※に銀を使用している角形チップ抵抗器（一般的に厚膜チップ抵抗器）で発生する現象です。硫黄が含まれる雰囲気中で抵抗器を使用した場合に、保護膜と外部電極の隙間から入り込んだ硫黄と抵抗器の内部電極の銀が反応して硫化銀（絶縁物）となり、抵抗器が断線する現象を角形チップ抵抗器の硫化断線といいます。

※“内部電極”とは、抵抗器において外部に露出していない電極のことであり、“抵抗体本体”とはんだ付けを行うための “外部電極” を電気的に接続する目的で設けられています。

硫黄は温泉や火山の近くで発生する硫化ガスに含まれるほか、重油などの燃焼によっても発生します。また、工作機械のオイル、ケーブルやタイヤなどのゴム製品には硫黄を加えてあるものがあります。

このような環境で使用される電子機器では、角形チップ抵抗器の硫化断線が発生する可能性があり、近年では内部電極に硫化しない材料を用いた耐硫化完全タイプや、内部に硫黄が入り込みにくい構造にした硫化遅延タイプの角形チップ抵抗器が開発されています。
KOAでは、硫化しない特殊材料を内部電極に用いた耐硫化完全タイプ抵抗器をラインアップしています。

	対策イメージ	効果
一般品		Fair
耐硫化 遅延タイプ		Good
耐硫化 完全タイプ		Excellent

≪耐硫化≫ SMD(表面実装)タイプ

抵抗器における耐電蝕*

薄膜で形成される金属皮膜抵抗器は高湿度環境で使用した場合、抵抗体の金属皮膜に電蝕が発生し断線に至る可能性がありますが、金属皮膜チップ抵抗器 RN73Hは内部に特殊保護膜を用いることで、従来製品に比べて耐湿性が向上し、電蝕断線が発生しにくい製品です。耐湿負荷寿命試験で一般的に厳しいと言われる車載向けの試験条件においても従来品に比較して優れた耐湿性を有しています。

一方、RK73Bなどの汎用チップ抵抗器は抵抗皮膜にメタルグレーズを使用しており、耐湿性が非常に高く電蝕は発生しません。

また、リードタイプ抵抗器で一般的に使用されているCFなどのカーボン皮膜抵抗器は、金属皮膜タイプと同様に高湿度環境で使用されると抵抗体のカーボンに電蝕が発生し断線に至る恐れがあります。一方、抵抗体にメタルグレーズを用いたRCRは耐湿性が極めて高く、電蝕が発生しない特長を有しています。

　*電解腐食