航空宇宙用抵抗器
ロケットや人工衛星等は軌道上でのメンテナンスが出来ないため、使用する部品には高信頼、長寿命が要求されます。したがって宇宙機に使用される部品には、宇宙航空開発政策を担う研究開発機関より認定を受けた高信頼性・高品質の認定部品を使用することがあります。
弊社ではそのような認定を受けた抵抗器を、衛星やロケット等の宇宙機器向けにラインアップしています。
航空宇宙用抵抗器の特長
有鉛はんだ端子の採用
一般の電子部品では端子部の鉛フリー化が進んでいますが、宇宙用途向けの抵抗器は以下の理由により有鉛はんだ端子を採用しています。
ウィスカー(Whisker)*の抑制による信頼性の向上
SnやZnなどは、地上よりも宇宙空間などの無重力状態でウィスカーの成長が顕著となることが知られています。
電子部品の外部電極のSnや接合材料として一般的に使用されているSn-Ag-Cu系などの鉛フリーはんだはウィスカーの成長が早く、一方Sn-Pb系有鉛はんだはウィスカーの成長が遅いことが確認されています。
ウィスカーは回路間の短絡や導通不良の原因となることから、ウィスカーが発生しづらい材料の採用が求められています。
*ウィスカーとは
鉛フリー錫(Sn)めっきや亜鉛(Zn)めっき層から、時間とともに成長する針状の金属結晶を指す。無重力状態ではウィスカ―が細く長く成長するため、回路の短絡など地上よりも不具合となる確率が高い。
@JAXA MEWS35資料「On-orbit validation to mitigate tin whisker growth」より
機械的耐久性の向上
有鉛はんだめっき品は錫めっき品と比較してクリープ変形による応力緩和作用があるため、実装後のヒートショック(熱衝撃)や機械的衝撃に対する信頼性が向上します。
スクリーニング(全数試験)、ロット保証(抜き取り試験)
宇宙機器用途向け部品にはスクリーニング、ロット保証が要求されます。
*バーンイン試験
部品に温度電圧ストレスをかけることにより、出荷前に初期不良品を除去(リジェクト)する試験の一つ。これにより、初期故障率が減少し、高い品質を保つことができる。
JAXA認定
JAXA(宇宙航空研究開発機構)が規定する認定試験に合格し、宇宙用部品として認定されています。
航空宇宙用LTCC基板
LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス)基板は多層セラミックス基板です。
⇒カタログはこちら
導体抵抗の小さいAg導体材料を配線パターンとしてセラミック内に多層構造で一体形成(同時焼成)しています。これにより導体抵抗成分によるロスが少ない電気的特性に優れた多層基板が可能となります。
セラミックス基板のため耐熱性、耐湿性に優れ、高気密性、アウトガスの発生がないといった特長を備えており、耐環境性や高い信頼性が重視される衛星やロケットなど宇宙用途向けの基板やパッケージとしての実績があります。
ご要求によりスクリーニング、ロット保証試験に対応いたします。