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回路のどこかで短絡などの異常が発生し過電流が流れた際に、主電源のヒューズが確実に溶断するのであればヒューズは1つで十分です。 しかし、回路がいくつかに分岐していると、電流の小さな末端で異常が発生しても主電源部では異常を検出できないことがあります。 その結果、局所的に発熱して発煙・発火に至ることにもなりかねません。 そのため、近年では安全対策として回路の分岐ごとに面実装タイプの電流ヒューズを挿入する例が増えています。 面実装タイプの電流ヒューズは、溶断するヒューズエレメントによって金属皮膜と金属線を用いたものに分けることができます。 エレメントに金属皮膜を用いた電流ヒューズは、外形寸法が角形チップ抵抗器と同じであるため、回路基板への抵抗器と同時搭載が可能です。 エレメントが金属線でセラミックボディのものは一次回路での使用が可能なものもあります。
求める機能や特性から、回路に適したヒューズを選定する必要があります。 多くの電流ヒューズは、PSEやULなどの安全規格を取得しています。
電流ヒューズは、流れる電流とエレメントの抵抗によって発生するジュール熱で溶断します。 発生する熱量Q(J)は、電流I(A)、エレメントの抵抗R(Ω)、時間t(s)とすると、以下の式になります。
ここで問題になるのがエレメントの抵抗です。 エレメントには金属が使われています。金属は3,000~6,000×10-6/Kの抵抗温度係数を持つため、温度が上がるとそれに伴って抵抗値も大きくなっていきます。 つまり、温度が上がるとより短い時間,またはより低い電流で溶断する熱量に達してしまうのです。そのため、使用温度範囲の高い方では軽減曲線に沿って、定格電流を制限して使います。 なお、パルス、サージや突入電流などの電流波形のエネルギーから最適な電流ヒューズを選定するために、ジュール熱積分値(I2t)がよく用いられます。
定格電流は定常的に印加した場合に、溶断しない電流値を示します。定格電流を超えて使用した場合には、溶断して欲しくない時に溶断してしまうといったことが起こります。エレメントによっては、長期間の使用による酸化や膨張収縮などで抵抗値が上がることを考慮して、定格電流のおよそ70%程度で使用することを勧めているものもあります。これを定常ディレーティングといいます。 使用する回路での定常電流は、定常ディレーティング係数と温度ディレーティング係数を用いて、次の式で求められます。
回路の定常電流≦定格電流値×定常ディレーティング係数×温度ディレーティング係数
交流波形の場合は,電流波形の実効値ではなく、ピーク電流値=定常電流 として使用します。 溶断電流とは、回路を遮断する電流です。回路内で発生した異常電流を速やかに遮断するため定格電流値の2倍以上に設定します。 溶断時間が1秒以内の場合には、実装ランド寸法や基板材質などの周囲の影響による溶断ばらつきは小さいのですが、1秒以上の場合には周囲の影響を大きく受けますので、実際の回路で事前に確認することが必要です。
定格電圧とは、ヒューズ溶断後に電極間に印加しても再導通しない電圧を示します。 定格電圧を超えて使用した場合、溶断時のアーク放電による再導通およびヒューズ素子破壊の危険があります。 そのため定格電圧以下で使用することに心がけてください。
ヒューズ選定の手順を以下に示します。
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