温度補償

温度補償とは?

 

電子回路において電子デバイスや電子部品の温度特性により、使用温度により出力特性などが変化(温度ドリフト)してしまうとき、その特性を補正することを指します。

主な温度センサの温度特性

温度センサを用いて温度補償を行う場合、温度センサの種類により温度特性が異なるため、温度補償が必要な回路の特性に合わせて最適な温度センサを選定する必要があります。

温度補償回路(例)

高周波出力段の温度補償

動作温度範囲内で温度補償を行う場合のように、抵抗値の変化を直線的に検出する必要がある回路にはリニア正温度係数抵抗器が適しています。一般用途には LP73 LT73を、車載用には LT73Vを推奨します。

 

()高周波増幅器の温度補償用のバイアス抵抗や出力負荷抵抗

感温抵抗器の使い分け

移動体無線などに用いられる高周波アンプの例です。周囲温度が上昇したとき、ゲート電圧が一定であればIddが増加して更に温度が上昇してしまいます。

 

そこで、Rcに安定した正の温度係数を持った抵抗器LP73, LT73を用いて温度補正を行ないます。


この回路では温度の上昇によって
Rcの抵抗値が上がると、ゲート電圧はマイナスに深くバイアスされ、Iddは減少する方向になります。負帰還がかかり熱発生が安定します。

 

例)高周波増幅器の温度補償用に、バイアス抵抗や出力負荷抵抗として用います。

ホール効果素子の温度補償

ホール効果素子は磁場に感応するセンサーです。非接触電流プローブ、ポテンショメーターなどでセンサーとして使用します。GaAsタイプの場合、-600×10-6/K(max.) の温度係数を持ちますので補正の必要があります。

代表的な補正回路を下図に示します。ホール効果素子に一定のホール電流を供給すると磁場の強さに応じた電位が得られます。これを差動アンプで受けて検出しますが、ホール効果素子の持つ温度係数に対応し安定した温度係数を持つ抵抗器LT73Rcの位置に挿入することにより温度補償をすることができます。車載向けには、LT73Vを推奨します。

光ピックアップの温度補償

PINフォトダイオードの感度は温度に敏感なため、温度補償素子LP73, LT73を、車載向けにはLT73Vを用いて補正します。

 

R1は逆バイアスを印加して応答性を改善するための抵抗です。R3/(R2+Rc)で増幅と同時に温度補償をします。


温度補償素子は他の抵抗器と並列あるいは直列に組み合わせることにより見かけの
T.C.R.を小さい方へ調整することが可能です。

 

対象となる素子と温度補償用抵抗器は熱カップリングを良好にする必要があるので接近させて配置します。

温度補償回路に白金薄膜温度センサ SDTシリーズを用いることにより、高精度に温度補償を行うことが可能です。

熱電対の温度補償

温度補償用温度センサ

一般品:リニア正温度係数抵抗器

種別

品番

製品名

チップタイプ

LT73

角形チップリニア正温度係数抵抗器

チップタイプ

LT73V

 角形チップリニア正温度係数抵抗器(自動車用) 

チップタイプ

LP73

角形薄膜チップ抵抗温度センサ

 リードタイプ

LP

薄膜抵抗温度センサ

高精度温度特性タイプ:白金薄膜温度センサ

種別 品番 製品名

チップタイプ

SDT73H

角形チップ白金薄膜温度センサ

チップタイプ

SDT73S

角形チップ白金薄膜温度センサ(高耐熱) 

チップタイプ

SDT73V

角形チップ白金薄膜温度センサ(自動車用) 

アキシャルリードタイプ

SDT101

白金薄膜温度センサ

ラジアルリードタイプ

SDT310

小形白金薄膜温度センサ

ラジアルリードタイプ

SDT310HCTP

小形白金薄膜温度センサ(細形)

アキシャルリードタイプ

SDT310VASP2

小形白金薄膜温度センサ(小形ヒーター素子)

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