株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
第96期(2023年4月1日から2024年3月31日まで)株主通信をお届けするにあたり、ごあいさつを申し上げます。
「2030ビジョン(Essential Parts of the World)」を掲げ、世界を支える必要不可欠な部品メーカーになると宣言した私たちは、2030年までEV等のモビリティ市場・産業機器市場の成長を支えるとともに、2040年の創業100周年に向け新たな事業領域を拓く、その挑戦の途に就きました。そして、ビジョン達成の第一段階であるこの3ヶ年は、確実な成長を実現するための基盤づくりに注力しています。当期業績は売上高、営業利益とも対前年比で減じたなか、生産能力拡大や新たな開発生産拠点建設のため191億円の設備投資を行い、加えて対売上高比率4.9%を研究開発費に充てたのはその証です。
今、各国の規制強化により自動車の電動化の流れが加速するものの、さらなるBEV(バッテリー電気自動車)の普及にはいまだ解決すべき課題があります。このうちバッテリー制御の最適化等に欠かせないのが、KOAの高信頼・高精度チップ抵抗器です。2024中期経営計画で果敢な設備投資に踏み切ったのも、当該製品群の需要拡大を見越してのことでした。
その成果が今年度以降いよいよ形になります。厚膜製品では、鹿島興亜電工株式会社の工場「となみの庄」が2024年10月に増産体制の構築を終え、マレーシアの新工場は2025年4月に竣工します。薄膜製品については、真田KOA株式会社の工場「真田の郷」で2024年10月より生産が始まります。さらに、本社が所在するパインパークには2024年8月、開発生産棟「さくらウイング」が竣工します。
2024中期経営計画では、再生可能エネルギーの導入と電力使用量の削減、未来を創造する人づくりの2つも重点施策としました。前者においては、本中計を終える2025年3月期の目標に対し高い進捗率で実績をあげています。また人的資本についても、人材開発・育成投資を増やすとともに、社員エンゲージメントの改善施策を不断に実施しています。
自動車の電動化により電子部品の需要が堅調に推移すると予想される一方、お客様における在庫調整の長期化による需要減少、中国経済の停滞などが今年度の業績動向に影響を及ぼす可能性はあります。しかし、私たちの視点は未来に置いています。2030ビジョンを必ずや達成し、さらに創業100周年において事業構造改革を果たすため、今年度も設備と研究開発に積極的な投資を行い、挑戦の足掛かりをしっかりと固めます。
株主の皆様におかれましては、今後も一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
2024年6月