山地で多く見られ、非繁殖期はおもに森林に生息するが、繁殖期の4月から7月にかけては生息地付近の湖沼や水田、湿地に集まる
[2]。成体は他のカエルと同様に肉食性で、昆虫類やクモ類などを捕食する
[2]。一方、成体の天敵は
ヤマカガシ、
イタチ、
アナグマ、
タヌキなどである。
モリアオガエルの
生活史の特性は、特に産卵生態によって特徴付けられる。カエルは水中に産卵するものがほとんどだが、モリアオガエルは水面上にせり出した木の枝や草の上、地上などに
粘液を泡立てて作る
泡で包まれた卵塊を産みつける
[2]。泡の塊の中に産卵する習性は多くのアオガエル科のカエルで共通しているが、モリアオガエルは産卵場所が目立つ樹上であることもあり、日本本土産のアオガエル科のカエルでは他に泡状の卵塊を形成する種が地中産卵性で小型のシュレーゲルアオガエルしかいないこともあって特に目立った存在となっている。
繁殖期になると、まずオスが産卵場所に集まり、鳴きながらメスを待つ。鳴き声は「カララ・カララ」と鳴いた後、「コロコロ」と続く
[2]。メスが産卵場所にやってくるとオスが背中にしがみつき、産卵行動が始まるが、卵塊の形成が進むに連れて1匹のメスに数匹のオスが群がる場合が多い
[2]。
産卵・受精が行われると同時に粘液が分泌されるが、この粘液を集まったオスメスが足でかき回し、受精卵を含んだ白い泡の塊を作る。直径10-15 cmほどの泡の塊の中には黄白色の卵が300-800個ほど産みつけられる
[2]。泡の中では複数のオスの
精子がメスが産んだ未受精卵をめぐって激しい競争を繰り広げると考えられており、モリアオガエルの精巣の大きさが際立って大きいことの原因と推測されている。泡は表面が乾燥して紙のようなシートとなって黄白色の卵塊となり、
孵化するまで卵を守る役割を果たす。
約1週間ほど経って卵が孵化する。孵化したオタマジャクシは泡の塊の中で
雨を待ち、雨で溶け崩れる泡の塊とともに下の水面へ次々と落下する。孵化したばかりのオタマジャクシは腹部に卵黄を抱えているため腹が黄色をしているが、やがて卵黄が吸収され、全身が灰褐色となる。オタマジャクシは藻類や動物の死骸などを小さな歯で削りとって食べる。
オタマジャクシは1ヶ月ほどかけて成長するが、この間の天敵は
ヤゴ、
ゲンゴロウ、
タイコウチ、
アカハライモリなどである。イモリは、幼生が泡巣から落下する時に、その真下で待ちかまえていて、落ちてくる幼生をぱくぱく食べる。前後の足が生えてカエルの姿になった幼体は上陸し、しばらくは水辺で生活するが、やがて森林で生活を始める。冬眠は浅い土中やコケの下で行われる
[2]。 (Wikipediaより)