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「こんにちは伊那谷」は1回2分半の映像シリーズです。伊那谷各地の残したい風景、伝えたい言葉、小さなお祭りや職人さんなど、ふるさとのいまを伝えます。上伊那、下伊那を巡る「小さな旅」をお楽しみ下さい。

辰野町横川渓谷

山の民 木地師(きじし)の名残のこす大木

こんにちは伊那谷の巨樹 2010年9月23日放送

辰野町横川渓谷にひっそりと立つ。栃は木地師が好んだ木で、昔は多くの栃が群生していたが、今は数本だけになった。
静止画 浦の沢の栃 3.jpg
大きな手を何本も広げたような栃の木、葉が独特の緑色をしていて美しい。


静止画 浦の沢の栃 7.jpg

浦の沢の栃 データ

樹齢:推定300年  樹種:トチ
樹高:30メートル   
幹周:4.13メートル
辰野町天然記念物

トチの木は、木地師が作る碗などの材料としてだけでなく、その実はトチ餅として重宝されていました。浦の沢の川底には、蛇石と呼ばれる奇石もあります。山と川、自然の造形に出会うことができる場所です。

浦の沢の栃 ミニスライドショー

静止画 浦の沢の栃 16.jpg

黙っていても身体で感じる栃の声

郷土史家 赤羽篤さん(90)

栃は、椀や盆などを木からつくって都などへ売る木地師(きじし)たちにとってはとても大事な木でした。浦の沢の栃の近くには、木地師の墓も見られますので、そうした歴史を物語る大木でしょう。
木に抱きついてみたり、大空に広がる枝を見上げれば、理屈ではなく誰もがこの木から迫るものを感じることでしょう。栃は、ものは言わないけれど、あの一帯が山の民とともにあったことを教えてくれている木なのです。


周辺地図 「浦の沢の栃」 辰野町横川渓谷周辺

浦の沢の栃と木地師

栃の木は、昔から椀や盆などの器物(うつわもの)の良材として利用されてきた。トチノキが多く自生していた横川の谷には、江戸時代多くの木地師が移り住み、ロクロを使った木地作りが盛んに行われた。
浦の沢は、「横川山十二洞(じゅうにほら)」と呼ばれた横川川に注ぐ十二の支流の一つである。過去にはこの沢一帯にもトチノキが群生していたものと思われ、それが度重なる伐採によって次第に少なくなり、最後の一本が木地師の集落があったといわれるこの平に残されたものであろう。
大きな手のひら状の葉が繁った初夏、大きな円錐状に集まった白い花が枝張り全面に咲きみだれ、それを坂上の「木地師の墓」あたりから眺めた姿は壮観である。秋には果実がみのり、外皮が三つに割れて赤褐色の実を樹下に落とす。あくが強くてそのままでは食べられないが、よくさらしてあくを抜けば食料となり、昔は救荒食物として保存され、トチ餅やトチ粥にして食べられた。 (現地案内板から)

アクセス 伊北IC

伊北IC下車、国道153号線経由(約30分)。