中央アルプスの雪形あれこれ
中央アルプスの盟主駒ヶ岳の「駒」の由来は、そこに現れる雪形にあります。雪形は古来より、農家の種まき時期の目安として地元の人々に口伝されてきた農事暦であり、駒ヶ岳に見られる雪形を列挙すれば、北から将棊頭山の双馬、八の字、中岳の駒形、前岳の種まき爺、極楽平のサギダルと白鷺、島田娘、種まき爺、熊沢岳の白鷺、空木の鬼面(おにづら)、田切岳の権兵衛と駒、南駒ヶ岳の五人坊主、種まき爺、越百山(こすもやま)の牛天神があげられます。これらは、昭和初期から雪形を研究されてきた田淵行男氏が、昭和56年(1981)に日本で最初に発刊された雪形の写真集「山の紋章雪形」にも掲載されています。
また雪形については、民俗学者の向山雅重氏の「残雪絵考」や加藤淘綾氏の挿絵にもあり、田淵行男氏は、雪形には、農業の中で最も重要な稲作と結び付いた「種まきじいさん」の類が多く、その次に僧や虚無僧など信仰の世界を重視し、また、動物の類では農作業に欠かすことのできない「馬」が多くみられ、当時の農民の生活意識が反映されていて、更に人生観をも感じられると語られています。今では農業も機械化され、更にインターネットの普及により情報が豊かになり、また、気象予報も正確になって農事暦として雪形を活用することはなくなってしまいました。代わって雪形愛好家や写真家などが、趣味として自分の雪形を発信するようになり、歴史的ルーツを無視したものもみられます。(駒ヶ根市HPより)
アクセス 駒ヶ根IC
駒ヶ根IC下車、雪形が良く見えるのは、大型農道付近や天竜川河畔、東伊那、中沢方面など。