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     〜林業家 保科孫恵さんの育林記〜

テレビ信州 2010年12月23日放送

孫さが目指すのは百年生の大径木(たいけいぼく)

 伊那市長谷在住の保科孫恵さん(82)は、"孫さ"の愛称で親しまれている林業家だ。孫さが目指す山造りは、自分の代ではお金にならない百年生の大径木が立ち並ぶ森林だ。
孫さ静止画 37.jpg
 保科さんには、山造りの先輩や自然を師として築き上げて来た頑固な「孫さ流」の育林の哲学がある。
 植林のコツや道具の使い方、伐倒の心得に至るまで、一貫しているのは「最終目標を見定める」ことと「段取りを考える」ことだ。孫さは、60町歩(東京ドーム38個)にも及ぶ森林を、ほとんど一人で育てあげてきた。

孫さ静止画 10.jpg伊那市長谷戸台(とだい)で孫さが育てた60年生のカラマツ林

目標は60年で胸高直径40センチ以上

 孫さが目指しているのは、大径木(たいけいぼく)と呼ばれる太くて真っすぐに伸びた、商品価値の高い木だ。目標は、60年生で、胸高直径40センチ以上。半世紀にわたるこれまでの山造りで、孫さの森林には、そんな木が数多く育っているという。

孫さ静止画 16.jpg

長野県経営者協会のリーダー研修のひとこま 孫恵さんは県指導林家でもある。

最終的には親子三代 長い時間がかかります

孫恵さんの次男 保科健さんに聞く

━━━孫恵さんが育てた林の未来は

  • ここから先、まだ30年は我慢していかなくてはいけない。となると僕が今40歳を越えてますから、集大成の頃は70歳を越えているわけですね。僕の子供はいま12歳ですから、30年後は42歳。ちょうど今の僕の歳なんですよ。

孫さ静止画 33.jpg 林学を学び、山の専門家として活躍している次男健さんと孫の純くん

孫さ静止画 36.jpg 健さんの誕生を記念して植えたヒノキ林で

  • ですから、その頃(30年後)が集大成で、結果をどう導き出すかというのは、それはたぶん僕の仕事ではなくて、次の世代の仕事になります。だとすれば、そこまで、父の育てたものをうまくバトンタッチできるように看てあげるというのが、僕の役目だと思うんです。
  • 親父が育てて、僕が養生と仕上げをして、そして最後にそれを料理するのが次の世代だと思ってます。

孫恵さんと健さんの3人で森林に入った純くん(12)は、この日はじめて父親の健さんの手ほどきで、チェーンソーを使って木を切った。孫さ静止画 32.jpg
健さんは、孫恵さんが育てている林を時折訪れ様子を見てまわっているという。そこは、子供の頃から孫恵さんと何度も訪れた、大切な場所。

孫さ静止画 31.jpg   孫恵さんを陰で支えた妻、久子さん